2015年12月24日

第18話時点、人気投票1位ご褒美(要) 2

 要は、大好きな結人のほっぺを、つんつんして、振り向かせた。
「ゆーいと」
「はい、要さん。なんですか?」
「結人、オレね、人気投票、1位になったよ」
「すごい、要さん!おめでとうございます。おれも、うれしいです」
 結人が、低い身長に見合った、短い両手をいっぱいいっぱい上げて、全身で心からの喜びを表してくれた。
 人気投票1位が、自分から要に移ったことに、妬みや嫉妬が一切ない、満面の笑みだ。
 結人のそんなところが、要は大好きだ。
 また、結人に、恋してしまった気持ちだ。
「うん、ありがとう。結人は今日も、すっごくかわいいね」
「要さんは、なにを、おねがいするんですか?」
 要に頭をなでられて、照れながら、くすぐったそうに首をすくめた結人が、そう聞いてみると、要が制服のポケットから、1枚のチケットを取り出した。
 それは、前回の第17話人気投票1位だった結人が、自分がもらったのに、いつも色んなものをくれる要にと、要にくれたものだ。
 要はそれを使わず、ずっと、とっておいた。
 いつか、もう1枚、こうしてチケットが自分にも手に入るのを、信じて。
「オレの願いね、1枚じゃムリそうだったけど、2枚あれば叶うかなって思ってさ」
「そうなんですね。よかったぁ。おれ、要さんの役にたてました!うれしいです」
「ん。ってことで、オレの願い。『結人を幸せにできる二人を出して』を叶えてね」
「・・・え?」
 要が、チケットを2枚持ち上げて、願いを口にした。
『結人を幸せにできる二人を出して』
と。
 それはあまりに予想外だし、意味が理解できないでいる結人が、きょとんとしていると、要が結人に、優しく微笑みかけた。
「結人に、会わせてあげるよ。結人が世界で一番大好きで、一番会いたい人たちに」
 そういわれても、まったくどういうことか分からず、結人がさらにおろおろしていると、

「結人・・・」

 結人をやさしく呼ぶ声が、聞こえてきた。
 後ろから。
 一人の男の人と、一人の女の人の声が。
 それは、絶対に忘れない、結人の大切で大切で、大好きな人たちの声・・・。
「・・・・・・・・・ぇ・・・・・・・・」
「ゆーいと。甘えておいで」
 あまりの驚きで、あふれそうなほど、大きな瞳を見開いている結人の震える背中を、要がそっと押した。
 結人はそれに勇気づけられるように、走り出した。
 結人が大好きで大好きで、でも、もう会えなくなってしまった、結人をかばって死んでしまった・・・・・・結人のお父さんとお母さんの腕の中に。
「お父さん!お母さん!」
 抱きついたら、抱きしめ返してくれた。
 すごく、温かかった。
 すごく、優しさが伝わってきた。
 結人は笑おうとしたけど、それより、涙がたくさんあふれてしまった。
 でも、それは、幸せな涙・・・。
 お父さんとお母さんは、それごと、結人を受け止めてくれた。

「・・・おとうさん・・・・おかあさん・・・・・・・だいすき・・・・・・」

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