2015年12月27日

ホワイトデー企画(誠志×結人) 2

 そんな結人を、誠志はジッと見つめて、観察した。
 なんだか今日の結人は・・・何かが、増していた。
 影がないというか、怯えがないというか、キラキラしていた。
 無防備すぎて、捕食したくなる雰囲気を、全身から醸し出していた。
 色気もまとっている。
(・・・なんだ?)
 不審がる誠志の視界に、結人がギュッと大切そうに握りしめている、2つの物が目に入った。
「日向、何を持っている?」
「あ、これですか?」
 結人は、小さな包み紙と、一枚のカードを持っていた。
「カードは、作者(おかあさん)が『要に渡してね』って。こっちの包みは、要さんへのお礼です。ホワイトデーは、バレンタインにチョコをくれた人に、お礼を渡す日だからって、作者(おかあさん)が教えてくれたから。おれ、チョコもらったから」
「見せてみろ」
 誠志は、結人からカードを受け取って、印字された文面を呼んだ。
『本日は、ホワイトデーでございます。
 見たいCP投票、要×結人で、相変わらずの、1位独走状態、及び、
 更に票を延ばしている要様に、
 結人様を、ホワイトデーのお菓子のように味わう権利を、差し上げます。
 なお、バレンタイン同様、結人様はホワイトデーの魔法により、
 セックス等の行為を、嫌がりません』
「なるほどな。日向がおかしいのは、このせいか」
「?おれ、どこか、おかしいですか?あ、ねぐせかな?」
 ぴよんぴよん跳ねていても、いつも気にしない寝癖を、結人は手の平で、てしてしと触った。
「理解していないわけか」
「?」
 大きな目で、不思議そうに見上げてくる結人を、さて、どうするかと誠志は思っていたが、ふとカードを裏返して、なんとなく、どうするか決めた。
 カードの裏側には、こう印字されていた。
 作者からのメッセージが。
『っていうか、要さぁ、そんだけ読者様に支持されて、
 一人勝ち状態で「その優しさで結人を幸せにして!」って言われてんなら、
 もう、つきあっちゃえば?
 さっさと食って、物にしろ!
 ってか、むしろ、めんどくさいし、結婚する?
 合鍵渡してる仲だし、ご飯ずっと作るとか、一生養うとか、
 プロポーズっぽいこと言ってなかった?』
 誠志は、カードをくしゃっと握りつぶすと、ゴミ箱に投げ捨てた。
 要に渡すように頼まれたカードがなくなって、結人がおろおろしだした。
 その結人から、結人が手に持っていた透明の包みも誠志は取り上げて、中身を見た。
 学園の売店かコンビニででも買ったのか、小さな安物のマシュマロが一つだけ入っていた。
 お金がない結人の、精一杯のがんばりなのだろう。
 結人を溺愛している要なら、こんな安物でも、結人から貰ったら激しく喜ぶのだろう。
 感激しすぎて、泣くかもしれない。
 要へのプレゼントも、カードみたいに捨てられると思って、必死にマシュマロを取り返そうとする結人の頭を、誠志は片手で押さえつけていた。
 高身長の誠志と、低身長の極みの結人では、身長も手の長さも違い過ぎて、届くわけも取り返せるわけもなく、結人は、ばたばたばたばたしていた。
「香守先輩、かえしてくださいー」
「低い身長だな」
 そう言いながら、結人を笑いながらも、誠志はプレゼントは捨てずに、結人に返してやった。
 手元に戻ってきた包みを見て、結人は安心したのか、うれしそうにホッと息をはいて、にこにこ笑った。
 要に渡せるときのことでも、考えて、そんな笑顔をしているのだろうか?
 誠志の中に、イラッとしたものが、芽生えた。
「日向・・・」
 にこにこ幸せそうな結人に、誠志はおもむろに、自分がかけていた伊達メガネを、かけてみた。
「お前は、似合わないな」
「だって、おれ、香守先輩みたいに、はなが高くないから・・・」
 誠志の眼鏡を結人がかけると、鼻先でひっかかって、ずれずれで、いわゆる、萌え眼鏡状態だった。
「それでも、当たらないように、ずらさないといけないがな」


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