2016年01月08日

結人君いろいろまちがってます(携帯編) 5

「んー!」
 結人が、かわいい顔をしかめて、携帯を必死に操作していた。
 要に使い方を教えてもらって、登録名を変えていたのだ。
「よし、できたー!」
 結人の顔が、ぱぁっと輝いた。
 もう、間違い電話をやらかさないために、『香守誠志』を『誠志さん』に変えたのだ。
「これで、おれはもう、ばかじゃないぞ。・・・えへへ。『誠志さん』って、なんか、はずかしいな。怒られるかな」
 でもこれで、今度からは、『要さん』にかけようとして、同じカ行で上下に並んでいる『香守先輩』にまちがってかけることは、ないはずだ。
『誠志さん』なら、サ行だ。
 結人はうれしくて、誰かに報告したくて、こんな時、いっしょにさわいでくれる人に電話をかけてみた。
「泉介ー。おれね、携帯のアドレス、変更できたんだよ。すごいだろ?ばかってもう、いわせないぞ」
「日向・・・」
 電話口から、怒ったような、呆れたような、低い声が響いてきた。
 しかも、泉介らしくない呼び方をして。
「ん・・・と?」
「お前は、今度は俺を、どこに入れた?俺は『香守誠志』だと、何回言ったら分かる?」
 結人の血が、さーっと引いた。
 さんざん、『要さん』と間違い続けて怒らせた相手に、またかけてしまっていた。
「え?え?なんで?」
 慌てて、携帯のアドレスを見てみれば、『誠志さん』と『泉介』は、同じサ行の中、上下に並んでいた。
「・・・おなじ・・・『せ』だ・・・」
「約束通り犯してやるから、俺の部屋に、今すぐこい」
「ご、ごめんなさーい!」
 怖いです!いきませーん!と、涙を浮かべて叫びながら、結人は必死に、電話を切った。
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