2016年01月08日

結人君いろいろまちがってます(携帯編) 6

「おれ・・・どこまで、ばかなんだろう・・・」
 誠志と泉介が同じ『せ』で並ぶことすら、気付かないとか、落ち込むしかなかった。
 結人は、とりあえず、誠志にこれ以上間違い電話をしたら、お仕置きされるとぶるぶる震えながら、泉介の登録名に苗字を追加して『赤井泉介』に変えた。
「よ、よし!今度こそ、まちがえないはずだ」
 サ行『誠志さん』は、カ行『要さん』からも、ア行『赤井泉介』からも遠ざかった。
 はぁーっとため息をつきながら、今度こそ、泉介に電話をかけてみた。
 この、なんだか疲れた気持ちを、分かってほしかった。
「せんすけー。おれね、まちがいばっかりしてる。香守先輩におこられたよ」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「泉介?」
 泉介が黙っている。
 いつもなら、結人が話し終わるのも待たずに、色々なおもしろい話をしてくれるのに。
 なんだか、この展開は、いやな予感がした。
「えっと、泉介・・・だよね?」
「これが、結人の間違い電話なのか・・・。俺は間違われてなかったのに、間違われた。なんだか、他の奴と間違えられるのは、ショックだ」
 この淡々とした、人の話を聞いてない感じの物言いは・・・。
「・・・ひ・・・ひそか・・・?」
 電話口から、頷く音が聞こえた。
「俺は『ひ』だから、安心していた。どうしてそうなったか、分からない」
 そう密にいわれても、結人も驚くしかなかった。
 慌てて確認してみれば、ア行で、『赤井泉介』と『朝霧密』が、上下に並んでいた。
 結人は、うっかりしていた。
 忘れていた。
 要の名前と似てて間違っていたから、『密』の登録名にも、苗字を付けたことを。
 そのせいで、間違い電話をかけていなかった密にまで、かけてしまった。
「密、ごめん!」
 とりあえず、この激しく動揺した心を抑えてから、いっぱい謝ろうと思って、結人は電話を切った。
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