2016年01月15日

要と結人の交換日記 2

「ゆーいと、みっけ」
「あ、要さんだ。どうしたんですか?」
 結人の教室である1-A組に来た要は、結人を後ろから、ぎゅうっと胸の中に抱きしめた。
 教室には当然、他の学生たちもいるけど、要は気にしない。
 学生たちが、あの『九条要だ』『九条会長だ』と、色んな意味でざわついているが、いまさらどうでもいい。
 学生たちの敵意とか、噂話とか、もう聞き飽きた。
 結人がいてくれるなら、何も怖くない。
 それだけで、強くいられる。
 結人がいるだけで、幸せだ。
「はい。交換日記できたよ。返事は急がなくていいからね」
 笑顔を向けたら、結人も笑ってくれた。
 うん、やっぱり、どっぷり、オレって幸せ。
「はい。おれも、がんばってかきますね」
「うん。ありがとう」
 結人の頭を、優しくなでなでしてから、要は教室を後にした。
 かわいいおでこにキスもしたかったけど、結人が変な目で見られたらいけないので、そこまでするのは、我慢我慢。
 残された結人は、いっしょうけんめい両手をぱたぱたさせて、手を振って要を見送った。
 それから、ネコさんノートに、ボールペンで書かれた、要のきれいな文字を読んでみた。
 ひらがなが多くて、子猫のイラストも描いてあって、読みやすかった。
 けど!
「・・・はわ・・・あわ・・・わわ・・・!!」
 結人の顔は、炎上した。
 頭から、煙が、ぼすっとふき出した。
 そこには、要からの、愛と甘さの限りを尽くした文章が、書かれていた。
 普段から、とことん優しくて、結人にだけ激甘なことを言っている上に、結人の前では口調まで変わる要が、『普段、口で言えないようなことを、文字にするって感じでいいんだよな』の理論で書くと、甘さが際限なく増すのだ。
 こんな感じで・・・。
『仕事を終わらせてから、今、結人との交換日記をかいてるよ。
 結人、なにか、困ったことはないかな?
 オレは、いつでも結人の味方だよ。
 結人だけは、なにがあっても、どんなものからも、守るからね。
 だから、いつでも言ってね。
 口でいいづらかったら、これにかいてもいいよ。
 こうやって、はなれて、結人を思いながらかいてると、さびしいような、うれしいような気持ちになるんだ。
 結人は今頃、オレのいないところで、どうしてるかなって思うし、でも、こうやってつながっているんだなって感じる』
 結人の頭の中に、要の甘くて優しいささやき声が、ぐるぐるまわっていく。
 でも、これは、入り口に過ぎなかった。
 その後も続くというか、激しく増していく甘い言葉のオンパレードを、顔を赤くして、必死に読んでいたら、不審に思った密に、声をかけられた。
「結人、どうしたんだ?」
「な、な、な、なんでもないよ!!」
「でも、結人が真っ赤だ」
「な、な、な、な、なんでもないって!!」
「結人がリンゴになった。真っ赤でかわいい」
「密まで、いわないでー!!」
 結人は、わけがわからなくなって、とりあえず、走って逃げた。
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