2015年12月24日

第18話時点、人気投票1位ご褒美(要) 1

第18話時点で、人気投票1位をとった要への
ご褒美小説です☆



『第18話時点、人気投票1位、おめでとうございます。
 1位の九条要様に、願いが叶うチケットを差し上げます』

 ある日、作者から、こんなメッセージカードと、1枚の魔法のチケットが送られてきた。
 前回、結人が人気投票1位でもらった、ご褒美チケットと同じものだ。
「よっしゃー!オレ、これが超ほしかったんだよな」
 要は、チケットをうれしそうに眺めると、机からヘアピンを取り出した。
 それを器用に使って、長く伸ばした前髪をかっこかわいく止め、普段は隠しているきれいな顔をあらわにした。
 そして、とびっきりの最高級笑顔を、読者様に向けてはなった。
 要が、ごくごくたまーにしか出さない得意技の一つ、キラキラ王子様モード、発動!
「読者のみんな。そして、人気投票でオレを1位にしてくれたみんな、ありがとな。応援してくれたみんなのおかげで、オレの願い、叶うぜ!」
 キラキラキラキラ☆
 要ファンの皆様、しばらくの間、お好きな笑顔を、ご想像くださいませ。


 さて、要が叶えたい願いは、なんでしょう?


第18話時点、人気投票1位ご褒美(要) 2

 要は、大好きな結人のほっぺを、つんつんして、振り向かせた。
「ゆーいと」
「はい、要さん。なんですか?」
「結人、オレね、人気投票、1位になったよ」
「すごい、要さん!おめでとうございます。おれも、うれしいです」
 結人が、低い身長に見合った、短い両手をいっぱいいっぱい上げて、全身で心からの喜びを表してくれた。
 人気投票1位が、自分から要に移ったことに、妬みや嫉妬が一切ない、満面の笑みだ。
 結人のそんなところが、要は大好きだ。
 また、結人に、恋してしまった気持ちだ。
「うん、ありがとう。結人は今日も、すっごくかわいいね」
「要さんは、なにを、おねがいするんですか?」
 要に頭をなでられて、照れながら、くすぐったそうに首をすくめた結人が、そう聞いてみると、要が制服のポケットから、1枚のチケットを取り出した。
 それは、前回の第17話人気投票1位だった結人が、自分がもらったのに、いつも色んなものをくれる要にと、要にくれたものだ。
 要はそれを使わず、ずっと、とっておいた。
 いつか、もう1枚、こうしてチケットが自分にも手に入るのを、信じて。
「オレの願いね、1枚じゃムリそうだったけど、2枚あれば叶うかなって思ってさ」
「そうなんですね。よかったぁ。おれ、要さんの役にたてました!うれしいです」
「ん。ってことで、オレの願い。『結人を幸せにできる二人を出して』を叶えてね」
「・・・え?」
 要が、チケットを2枚持ち上げて、願いを口にした。
『結人を幸せにできる二人を出して』
と。
 それはあまりに予想外だし、意味が理解できないでいる結人が、きょとんとしていると、要が結人に、優しく微笑みかけた。
「結人に、会わせてあげるよ。結人が世界で一番大好きで、一番会いたい人たちに」
 そういわれても、まったくどういうことか分からず、結人がさらにおろおろしていると、

「結人・・・」

 結人をやさしく呼ぶ声が、聞こえてきた。
 後ろから。
 一人の男の人と、一人の女の人の声が。
 それは、絶対に忘れない、結人の大切で大切で、大好きな人たちの声・・・。
「・・・・・・・・・ぇ・・・・・・・・」
「ゆーいと。甘えておいで」
 あまりの驚きで、あふれそうなほど、大きな瞳を見開いている結人の震える背中を、要がそっと押した。
 結人はそれに勇気づけられるように、走り出した。
 結人が大好きで大好きで、でも、もう会えなくなってしまった、結人をかばって死んでしまった・・・・・・結人のお父さんとお母さんの腕の中に。
「お父さん!お母さん!」
 抱きついたら、抱きしめ返してくれた。
 すごく、温かかった。
 すごく、優しさが伝わってきた。
 結人は笑おうとしたけど、それより、涙がたくさんあふれてしまった。
 でも、それは、幸せな涙・・・。
 お父さんとお母さんは、それごと、結人を受け止めてくれた。

「・・・おとうさん・・・・おかあさん・・・・・・・だいすき・・・・・・」

第18話時点、人気投票1位ご褒美(要) 3

「やーっぱ、1枚じゃ叶わなかったんだな」
 結人たち仲良し家族のジャマをしないように、要は生徒会室に戻ってきていた。
 あの結人たちの幸せな空間に、入り込める隙もなかったし、壊したくもなかった。
 結人が幸せなら、それでいい。
 だから、いつもの要の居場所に戻ってきた。
 そこには、いつも通り誠志がいたので、要は独り言のように話し出した。
「お父さんとお母さん、どっちか一人だけでも会せたら、結人、うれしいだろうけど、悲しくもなると思ったから、オレがチケットもらえるまで待っててよかった」
 チケット1枚では、死んでしまった人を1人しか呼び出せないと考え、チケットが2枚になるのを要は待っていたのだ。
 そして、今回、結人に、結人が大好きな二人を会わせてあげられた。
「結人、すっごいうれしそうだったな」
 そういう要も、自分のことのように、うれしそうに笑っていた。
 そんな要を、メガネの奥の瞳で見ていた誠志が、話しかけてきた。
「要、お前はよかったのか?母親に会わなくて」
 死んだ人間に会えるのなら、要の亡くなった母親にも会えたはずだ。
 なのに、要はそれを選ばなかった。
 要がどれだけ母親を想っているかを知っている誠志だからこその、問いかけだった。
「へ?んー、まっ、それはいつか機会があったらね。それより、結人が見たことないような幸せそうな顔してて、それが見れただけで、オレは十分だな」
 ご褒美チケットでは、死んだ人間が生き返るわけじゃない。
 今、この時間に会えるだけだけど、もう二度と会えないと思っている人に、それでも会いたいと思う気持ちも、会えるうれしさも、同じように親を亡くした要は理解していた。
 それに、結人は、自分のせいで大好きな両親が死んだと思っている。
 それは、突然、前触れもなく訪れた悲しい出来事。
 きっと、伝えたい言葉がたくさんあるのだろう。
 大好き、も。
 ごめんなさい、も。
 言いたくても、ずっと、死んでしまった両親には、言えなかった。
 たとえ、この番外編だけだとしても、そんな気持ちの整理をつける機会をあげたかった。
 そして、あの優しい微笑みを浮かべていた結人の両親なら、結人を許し、受け止め、癒してくれるだろう。
 それは、要にはできない。
 結人の両親にしかできないこと。
「結人を今、一番幸せにできるのは、結人の両親だからさ。オレを応援してくれて、オレの願いを叶える機会をくれた読者様に、感謝だな」
 そう言って、楽しそうに笑っていたのに、誠志が何か言いたそうに要を見ていたので、要は誠志に、ニヤッと笑ってみせた。
「まっ、結人を一番に幸せにする男に、いつかはオレがなってやるけどな。結人の両親にも、もちろん、誠志にも負けないぜ」
 人気投票1位男は、ライバルの一人に指を突きつけて、宣戦布告した。