2016年01月21日

みんなの休日 10

「日向結人は、心を閉ざしていたアレらの心を、開いたということか」
 結人がビデオを真剣に見ている生徒会室の廊下側のドア、そこに背を付け、腕を組み、神無理事長がうっすらと笑っていた。
 純粋な子供が、それぞれの形で心を閉ざしていた少年たちの心を開いた、と。
 愚かなことだ、と。
「心を閉ざしていた者は、それを行った者に固執する。・・・クク、日向結人。君は立派な餌に育ったな」
 神無理事長は、結人に気付かれることなく、その場を後にした。
「私が動き始めるには、いい頃合いかもしれないな」
 そう・・・呟きながら。



「なんや、結人、寝たんかいな」
 泉介が、結人を見下ろしながら、そう言った。
 いつまでも寮に戻ってこない結人を心配して、探してみれば、結人は、生徒会室の机に顔をつけて、眠っていた。
 ビデオを見ながら、眠ってしまったようだ。
 泉介は起こそうとして、やめた。
 いつも笑顔なかわいい友達が、無防備に寝息を立てているから。
「結人の寝顔って、超癒し系だよな。かわいすぎる。めっちゃ、キスして、なでまわしたいなぁ」
 要が自分の上着を、結人の小さな体にかけてあげながら、微笑んだ。
 言葉とは裏腹に、とても優しい笑顔で。
 命をかけてもいいと思わせてくれた、愛しい人だから。
「結人は起きてる時も、俺を癒してる」
 密は無表情に、けれど、ジッと結人を見つめながら、呟いた。
 結人に、自分の体の秘密を知られて以来、体が変化するたびに、血と痛みが治まるまで、一生懸命に細い腕で抱きしめてくれる結人を、思い出しながら。
「お前たちは、少しは、黙ることを覚えたらどうだ」
 誠志は、ポケットのタバコに手を伸ばしかけて、やめた。
 無邪気に眠る結人を見て、なんとなく。
 そして、気付かれないように、自嘲気味に薄く笑った。
 長年愛用してきたタバコの種類を変えるきっかけを作った結人と、その出来事を思い出しながら。

 そして、誰からともなく、それぞれのイスに座って、それぞれの距離感から、結人の寝顔を見つめた。

 結人の安らかな時を、壊さないようにと・・・。



※今回の小説は、みんなの休日ですが、
 神無理事長が悪だくみしてるシーンが出てきますね(*´O`)
 時期的に、本編の16話のあとという感じです。
 16.5話って感じです♪
posted by ちぃ at 16:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 【小説】みんなの休日 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

みんなの休日 11(おまけ)

リクエスト小説『みんなの休日』のおまけです♪
それぞれのキャラ、一人一人だったら何をしているかですo(⌒0⌒)o


『みんなの休日~おまけ1~』

結人の休日

 いっぱいご飯を食べた後、体力がないので、猫さんといっしょに、寝ています。
 起きてるときは、もこ太(13話で要が結人にプレゼントした、
 癒しのあざらしの赤ちゃんロボット。命名:結人)の、お世話をしています。
 がんばって勉強してみたりもしますが、3分で寝れます。



密の休日

 無趣味なので、やることがありません。
 ぼんやりしていたら、一日が終わっています。
 かと思ったら、唐突に腕立てをはじめて、体を鍛えたりします。
 部屋の片づけをはじめてみたりもしますが、
 すぐどうでもよくなるので、部屋は結構ごちゃごちゃ。



要の休日

 普段は時間がなくてできない、長く煮込む料理に、挑戦したりします。
 携帯やバイクを改造して、遊んだりもします。
 (装飾するのではなく、自分好みに性能をあげています)
 でも、やりすぎて、使い物にならなくなこともしばしば。
 体を動かすのも好き。
 バスケとか、剣道とか。
 多趣味だけど、器用にこなします。



誠志の休日

 妹の沙希の買い物に、つき合わされたりします。
 マニュアル車が減少している中、あえてマニュアルの操作性を
 好んでいるので、車のカタログを見たりもしています。
 車は、見るのも、運転するのも好き。
 (まだアップしていませんが、そのうち、要に車を壊されるので、新車のチェックも)
 暇つぶし的に、政治や経済番組見て、酷評するのも好き。



泉介の休日

 全寮制生活なので、離れて暮らす両親や姉たちに、電話をかけたりします。
 家族から送ってもらった、荷物と仕送りが入った段ボールを開ける瞬間が楽しみ。
 (いたずら好きの姉たちからの驚愕の品、在中率高し)



黒崎の休日

 けっこうきれい好きなので、よく掃除しています。
 趣味と実益を兼ねて、医学書を読みふけったりもしています。
 医学書の所持数はかなりのものなので、書庫にした部屋だけは
 本の山になってしまい、掃除できずに困っている。



神無理事長の休日

 車を走らせて、懐かしい場所によく行きます。
 そこで、タバコをくゆらせながら、昔のことを思い出しています。
posted by ちぃ at 16:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 【小説】みんなの休日 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

みんなの休日 12(おまけ)

リクエスト小説『みんなの休日』のおまけ2です♪
『みんなの休日』の中に、書ききれなかったお話ですo(⌒0⌒)o


『みんなの休日』おまけ 2 ~ゲームセンターバトル編~

 結人は、寮の部屋のベッドに、なんだもちゃんのぬいぐるみを置いた。
 とても、大事そうに。
 これは今日、みんなで取ったものだった。
 今日、ゲームセンターに入った時、クレーンゲーム機の中に、大量のなんだもちゃんのぬいぐるみがいた。
 不気味に・・・微笑みながら。
「なんだもちゃんがいる」
 結人はよろこんで近づいたが、みんなは、呆れていた。
「この街は、コイツに侵略されてるのか?」
と。
 それでも、結人がきらきらしているから、みんなで、なんだもちゃんを取ろうと、がんばった。
 けど、なんだもちゃんは、手ごわかった。
 この手のゲームをしたことない結人、密はうまくできず、慣れている泉介も苦戦し、ジャンル問わずやったことがないことでもやると器用にこなす要でもうまく取れず、結人がしょんぼりしだした時、後ろで興味なさげにしていた動かざる山・・・誠志が動いた。
 誠志は、メガネの中心を押しながら、複雑に絡み合うなんだもちゃんのぬいぐるみの位置関係を測定すると、ボタンをトントンと押して、あっさりと取ってしまった。
「なんで、お前が取れんの?」
 目の前で起きた予想外なことに、目を点にしながら見ている全員を無視して、景品出口に落ちてきたなんだもちゃんを、誠志は結人に押し付けた。
 誠志は実は、かなり取れる。
 状況把握能力が高い誠志に、妹の沙希がおねだりして、取らせまくったから。
 沙希は誠志をこき使える、貴重で無敵なつわものだ。
 だが、そんなことを、誠志が口にするはずもなく、
「その気味の悪い物を、俺の車に置いて行ったら、どうなるか分かっているな?」
 それだけを言った。
 言われた結人は、きょとんとしていたが、取ってもらえたのがうれしくて、誠志にとびきりの笑顔を向けた。
「ありがとうございますです」
「せーいしー。お前、何また、おいしいところ、持っていこうとしてんだよ。2回目だぞ、今日」
 要が笑いながら、誠志の肩に手をかけた。
 その逆の手は、結人に見えないように、誠志の脇腹にこぶしを入れて、グリグリしていた。
 完治していない、誠志の傷痕があるところに。
 1回目は許したけど、2回目は許さないようだ。
「要・・・貴様・・・」
「え?なーに?」
 プライドの高い誠志が、不覚にも傷を負わされた自分に腹が立っていることも、そんな傷をいまだに持っていることや、痛がる姿を出す気がないことを分かっていて、要はグリグリしたのだから、要はニヤニヤと、とぼけて見せた。
 そんな要の足を、誠志は、グリグリと踏みつけた。
「いてぇよ、誠志。なんだよ?久しぶりにやるか?相手になるぜ」
「最近、忙しくて鍛えてないお前が、よく言えたものだな」
 2年コンビがそんな不穏なことをしているとは、どんか・・・純粋な1年トリオが気付くはずもなく、
「結人が笑った」
 密が、喜んだ。
「結人、よかったな。なんだもちゃんやで」
 泉介も、喜んだ。
 結人を取り囲んでいると、結人が、手の中のなんだもちゃんを見つめてから、ぎゅっと抱きしめて、また笑った。
「うん!おれ、うれしいな」
「・・・結人」
 みんなが、結人を見て、固まった。
 結人のかわいいさは、なんだもちゃんの不気味さを持ってしても、消せるものではないようだ。


 そんなこんなで、結人の手元にきた、なんだもちゃんのぬいぐるみ。
 結人は、ベッドに飾ったけど・・・、
「うわぁぁぁぁ!!」
 ベッドで寝返りをうった結人から、驚きの声が上がった。
 真っ暗な部屋の中で、なんだもちゃんの目が・・・光っていた。
 なんだもちゃんは、闇の中で真価を発揮する、不気味仕様だ。
「・・あ・・う・・・・あう・・・」
 結人は布団を頭からかぶって、ぷるぷると震えた。
(これは、みんながくれたもので、大事で、かわいいのに、怖いとかだめだ)
 でも・・・怖い・・・。
 なんだもちゃんは、結人の心に、軽いトラウマを作ったようだ。
posted by ちぃ at 16:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 【小説】みんなの休日 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする